2012年2月14日火曜日

夢追いカメラマンさんへ〜元妻からの返信メール〜

夢追いカメラマンさんへ

返信遅くなりました。
離婚届受け取りました。

今日の東京は晴れています。
あまり気持ちが良いので新宿駅から地下鉄に乗らず、仕事場まで歩いてきました。
途中、中央公園のベンチで一休みをし、青空の写真などを撮りました。

5年位前でした。
あなたに「私も写真撮ろうかな・・」と言ってみたら、すぐに買ってくれたカメラがニコンの「クールピクスP5000」でした。
あなたは携帯電話やコンパクトデジカメで手を伸ばして写真を撮るのが大嫌いで、私が「なるべく小さなカメラがいい」と言ったにもかかわらず、
「ファインダーをのぞくタイプのカメラじゃないと許せない」と、買ってくれたのでしたね。
コンパクトデジカメにしては中途半端に大きくて、ほんとはちょっと気に入らなかったんですよ。
「1日1枚でいいから、毎日撮れ」とあなたに言われ、最初は頑張ってみましたが、1ヶ月ほどでへこたれてしまいました。
その、P5000も古くなったので、新しく出た「ニコン1 V1」を買いました。
あなたのこだわりのファインダーをのぞくタイプの方です。
レンズは「10ミリF2.8」にしました。
なるべく小さなカメラが良かったのに、また中途半端に大きいのを買ってしまいました。
でも、中央公園の青空がとてもステキに撮れました。

「オーロラの撮影は順調」とのこと、何よりです。
あなたの会心の作品をぜひ見てみたい・・・。

私の仕事は、順調です・・・とは言えません。
去年の業績はかなり落ちました。
商社に勤めていたときは「自分の能力が生かされていない」と感じ、思い切って大学院に入り直し、
念願の経営学修士を取りました。
そして、大学院の同期5人でコンサルティング会社を設立し、代表に就任し、やっと自分の能力を活かせる、
と思っていたのですが・・・
2人が辞めてしまい、今は現状維持が精一杯の状況です。
何度も「どこかの企業に勤めようか」「もう辞めてしまおうか」と思いました。
その度に思うのはあなたのことで、
「全部辞めて、スウェーデンのあなたのもとに飛んでいこう」と・・・・。
でも、それが自分にとっての逃げ場になっていることに気付きました。
「ダメだったらスウェーデンに・・・」
それがダメな理由だ、と気付きました。

私から離婚を切り出したのはそんな理由です。

もう逃げるところが無くなったので、気分一新とことん仕事に打ち込めます。

この間、ネットで見つけた記事にこんなのがありました。
オーストラリアの看取りの看護師さんが聞いた、死を間近に控えた人々が口にした後悔の中で多かったもの
1. 「自分自身に忠実に生きれば良かった」
2. 「あんなに一生懸命働かなくても良かった」


私はあなたが羨ましくてしょうがありません。
あなたは好きなことを見つけ、最初から好きな事をやっているでしょう?
自分のやりたいことをして、それで生活が出来る。
これって理想で、これが人の本来のあり方で、でもなかなか出来ない。
でも、あなたはそれで生きているのよ。

それができる人は幸せです。
でも、あなたは出来ている。

あなたは私のあこがれです。

仕事が順調になって、
忙しくてしょうがなくなったら、
むりやり休暇を取って、
スウェーデンに行きます。
それまでそちらで頑張って下さい。

あなたにプロポーズされた11年前のように、
「自分が輝いている」
と思えるようになったら、
逢いに行きます。

泣き虫、弱虫女より


※この手紙はフィクションです。
※人物は実在しません。
※モデルもいません。
「ナースが聞いた「死ぬ前に語られる後悔」トップ5」
http://youpouch.com/2012/02/06/53534/