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2015年7月5日日曜日

僕のお気に入り「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」


「余人を持って代え難い」レンズ、


と言うのも言い方が変ですが、他のレンズでは代えがきかないレンズが、今回のレンズ「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」です。


「マクロレンズ」と「マイクロレンズ」という言い方がありますが、ニコンによるとマクロレンズとは「原寸大以上の拡大光学系」、「原寸大までの近接撮影用」がマイクロレンズだそうです。
「代え難いレンズ」と最初に書きましたが普通の単焦点レンズでは
50ミリでは0.45m 1/6.7倍、
85ミリでは0.8m 1/8.1倍、
までしか近接がききません。
この「1/6.7倍」「1/8.1倍」をわかりやすく言うと、
1/10倍は 10cmの物が、センサー(フィルム)上に1cmに写る事 = 1/10
1/1倍(等倍)は 1cmの物が、センサー上に1cmに写る事、
を現しています。
言い換えると倍率が大きいほど、小さいものを画面いっぱいにとらえる事が出来ます。「AF60ミリマイクロ」では∞~0.185mまでが撮影距離で、0.185mで等倍撮影まで可能です。


 まだ写真を始めたばかりの頃は「マイクロレンズは特殊なもので普通の撮影は出来ない」と思っていました。確かに、かつてのニッコールレンズでも「メディカルニッコール」などの特殊レンズで普通の撮影が出来ないものもありました。しかし現在のマイクロレンズはむしろオールマイティー、無限遠からクローズアップまでシームレスに撮影可能な便利なレンズです。人物撮影に使えば、全身からバストアップ、顔アップ、さらに目だけのアップなども撮影可能で、写真に変化をもたらしてくれる「代え難いレンズ」なのです。

 僕が最初に買ったマイクロニッコールはAiニッコール55ミリF3.5だったと記憶しています。このレンズは単体で∞~1/2倍まで、中間リングを付けて1/2倍~等倍まで撮影するものでした。日常持ち歩く事はあまりありませんでしたが、仕事上で極小のものを撮る時には欠かせないレンズでした。次第にメイクアップの撮影をする機会が増えワーキングディスタンスが欲しくてタムロンの90ミリF2.5を購入しました。近接撮影は被写体に数センチの所まで近づいて撮影するため、少し望遠系のレンズでないとレンズがライティングを遮ってしまったり、アイメイクを撮影する際に瞳にレンズが映り込んでしまうのです。このレンズ巷の評判も良く、そして評判通りのシャープなレンズでした。マクロレンズにしてはコンパクトでジャマにならないので、いざという時のためにいつも持ち歩いていました。


 マクロレンズが厄介なのは「露出倍数」です。
露出倍数=(1+M)²
カメラの内蔵露出計を使っていればほとんど気にすることのない「露出倍数」ですが、スタジオのストロボ撮影などで外部露出計で明るさを測ると、この計算をしないと適正露出になりません。
Mは撮影倍率、前述の例で言うと85ミリレンズで0.8mの最短撮影距離で撮影すると、
Mは1/8.1
(1+1/8.1=(9.1/8.1=1.26215516
露出倍数1は補正0 露出計の出た目 F8ならそのまま「8」
露出倍数2は光の量が1/2 F8の場合「5.6」が適正 つまり1絞り開け
露出倍数1.4で半絞り
では、1.26215516は・・・1/4絞りくらい開けかな、
と、ほとんどわからないでしょ。
そもそも「M」はどうしてわかるのか、
1cmの物がフィルム上に1cmに映ったら1
90mmの焦点距離のレンズを90mm繰り出したら1
30mmだったら1/3・・・・・・


 こんな計算を簡単にするための計算尺が存在するくらい露出倍数は厄介な物なのですが、
AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」はこれを自動的に補正してくれます。
どういう事かというとレンズの繰り出し量に合わせて絞りを適正に開けているのです。
F8に合わせて等倍まで繰り出すと露出倍数は4なので2絞り開けたF4の絞りになっています。これで実際の明るさはF8と同等の明るさになります。
ただし開放F2.8はこれ以上開けられないので無理。
F2.8でレンズを繰り出していくと開放F値はどんどん暗くなってF4.8と表示されます。
先ほどの計算でいくとF2.8レンズを等倍まで繰り出すと2絞り暗くなって開放F値はF5.6になる計算ですがこのレンズはピントリングをまわしてもレンズが繰り出さないインナーフォーカス式のため2絞り暗くはならないのです。


 このレンズに限らず今どきのマクロレンズはすべからくそんな機能は当たり前に備えています。
そんなわけで、
スタジオ撮影でも露出倍数を一切考えないですむ、人物撮影では全身から半身、バストアップ、顔アップさらに目玉のアップまで連続して撮る事ができる代え難いレンズ、であることがわかっていただけたでしょうか。


 マクロレンズは構造上大きくなりがちで、「AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED」はVR機能が付いていることもあって750gとちょっとヘビー。60ミリはそれほど大きくなく425gなので持ち歩きも楽です。また、インナーフォーカスのためクローズアップ撮影時でもレンズの全長はかわりません。ナノクリスタルコートが採用されているので逆光撮影でも黒バック撮影でも何でもこなしてくれます。
右は旧型のマイクロ-ニッコール105ミリF2.8

105ミリは全郡繰り出し式なので最短撮影距離では全長が伸びる



 私はこのレンズでライフワークでもある「花」のクローズアップを撮っています。日頃どんなに目を凝らしても見ることのできないミクロコスモスの世界を映し出してくれるので、自分で撮った写真に自分で感動してしまいます。
「花ってこんなふうになっているんだ〜」
あなたもマクロ撮影をして驚きの世界を発見して下さい。

2013年7月24日水曜日

僕のお気に入り「Ai AFニッコール28mm F2.8S<New>」


安いレンズはだめなのか?

最近発売になった「AF-S NIKKOR 28mm f/1.8G」のスペックを見てみると
9群11枚(非球面レンズ2枚、ナノクリスタルコート)

以前からあった現行レンズ
「Ai AF Nikkor 28mm f/2.8D」は
6群6枚

レンズの開放F値を明るくすることは収差を増大させることにもなり、その収差を補正するためにレンズの構成枚数を増やし、それによって値段も跳ね上がる。
28mm f/1.8G¥93,450
28mm f/2.8D¥40,950
「一絞り明るくなるとレンズの値段は2倍になる」という法則にのっとって(そんな法則はない)一絞りと三分の一明るいレンズはみごとに2.28倍の値段である。
最新の設計、最新のコーティングを施された最新のレンズは確かに20年近く前の設計のレンズより良いことは間違いないだろう。もし、今使っているレンズに不満があったらすぐにでも買い換えるだろう。でも今使っているレンズは僕のお気に入りなので替えるつもりはないのだ。

僕が今使っている28ミリは、現行ニッコール28ミリの一つ前の世代の「Ai AF Nikkor 28mm F2.8S<New>」
1986年に発売された「AFニッコール」第一世代のフォーカスリングをラバーフォーカスリングに変え、1991年に発売した<New>タイプである。後に1994年、レンズ構成を新しくし、最短撮影距離を0.3mから0.25mに短縮した「D」タイプの現行品に変わった。
現行品の「D」は6群6枚構成だが、一世代前の「S<New>」は5群5枚で、今よりさらに枚数の少ないシンプルなレンズ構成になっている。

僕の勝手な思い込みだが、レンズ構成枚数の少ないレンズはヌケがいい。
いかにコーティング技術が向上して、レンズ表面の反射による光のロスがなくなったとはいえ、ガラス内部でも光は吸収される。当然レンズ合計の厚みが2倍になれば、吸収される光も2倍になるはずだ。

11枚より6枚、6枚より5枚でレンズが成立するならば、僕は5枚のレンズで十分だ。最初にそう思ったのは、「ニコンレンズシリーズE28ミリF2.8」を使ったときだった。
その頃僕は「Aiニッコール28ミリF2S」を使っていた。当時あった「F2.8」や「F3.5」のレンズに比べれば高価なレンズだったが、それほど満足出来るレンズではなかった。レトロフォーカスタイプ特有の四隅が「ガクッ」と落ちるレンズで、開放F2やF2.8位では周辺に問題があり、中央部しか使い物にならない。やっと周辺まで使えるようになるのはF5.6からで、実際それより開けて使うことはなかった。
そんなとき「日本では販売しなかったニコンレンズシリーズE28ミリF2.8」を手に入れた。
(詳しくは「幻のニコンレンズE28を買う」の巻のブログをお読み下さい)
http://kodawaricamera.blogspot.jp/2011/08/e28_19.html
この軽量、安価なレンズがなかなか侮れない。開放F2.8はハッキリ言って「Aiニッコール28ミリF2S」のF2.8より良かったくらいだ。それでしばらくの間はE28は仕事用メインレンズの一つとして使っていた。

それからしばらくしてAFの時代になり次第にAFズームレンズが仕事レンズの中心になり、デジタルの時代になった。
仕事上は便利なズームレンズで十分だったが、一通りの単焦点レンズもAFレンズで揃えることにした。
その時に気になったのがこのレンズ「Ai AF ニッコール28ミリF2.8S <New> 」だった。
何故気になったか?
このレンズは幻の(日本では発売されなかった)「ニコンレンズシリーズE28ミリF2.8」そのモノだったからだ。

レンズシリーズE28とAF ニッコール28の構成図
5群5枚のレンズ構成は構成図を見れば明らかなようにまるで同じ構成だ。中古で購入した「Ai AF ニッコール28ミリF2.8S <New> 」の写りはE28と同じ、ヌケが良くクリアーであった。加えて、E28のシングルコーティングからAF28はマルチコーティングになっている。E28の頃でも逆光でのフレアーなどが気になることはなかったが、マルチコーティングになっているのでさらに安心感がある。

シングルコーティングのE28
マルチコーティングになったAF28


ラバーフードHR-6
レンズフードは「HN-2」が指定のものだが「HR-6」を付けて使っている。これもE28専用フードで、日本で見かけることはない。フードを付けたままでレンズキャップが付けられ、折りたたみも可能なゴムフードなので格段に便利だ。















LW Nikkor 28mm F2.8
幻の「ニコンレンズシリーズE28ミリF2.8」がかたちを変えて日本に初登場したのがこの「Ai AF ニッコール28ミリF2.8S 」かと言うと実はそうではない。1983年ニコノス用陸上専用レンズとして発売した「LW Nikkor 28mm F2.8」も実はレンズシリーズE28の5群5枚レンズであった。このレンズはニコノスV等に付けて目測で撮影するもので、あまり注目されることもなくいつの間にかフェードアウトしてしまったものでE28よりもっと幻のレンズになってしまった。
NEVER use underwater














現在は販売されていない「5群5枚28ミリF2.8」レンズであるが、今までに「ニコンEM等のコンパクトフィルム一眼レフ用」「水中カメラニコノス用陸上専用レンズ」「初期AF一眼レフ用レンズ」として、3回かたちを変えてニコンに装着されてきたニコン秘蔵の「安価」「コンパクト」28ミリである。ある意味「信頼の逸品」である。
今後もいつか、かたちを変えて4度目の登場があるかもしれない。