2013年11月27日水曜日

僕のお気に入り「AFズームニッコール ED 28-200mm F3.5-5.6G (IF) 」


 最近一番出番が多いレンズ・・・と言えば、
このレンズ「AFズームニッコール ED 28-200mm F3.5-5.6G (IF)」でしょうか。

 お気に入りの理由は、何しろ小さい。
僕が使っているレンズの中から「AF85ミリF1.8D」と大きさを比較してみると長さでは12ミリ長いが、直径は8ミリ細く、重さは20グラム軽い。これで28ミリから200ミリまで、ほとんど普通の撮影で使う焦点距離はカバーしている。そんなわけで、取材ものの仕事と、スタジオ撮影ではほぼこのレンズ一本で仕事をしています。
 
左:28-200 右:85/1.8
取材もの(ドキュメンタリー)の撮影は機動力が重要です。取材対象に密着し、あらゆる現場での撮影を要求されます。求められているのは「髪の毛一本一本を描写する高画質」でも「ボケ味」でもなく「現場の臨場感」です。それには自身の存在感を消し、さり気なく撮影することが要求されます。カメラを2台も3台もぶら下げてガチャガチャと走り回る様は、それだけで被写体に無用な意識を持たれてしまいます。そんな仕事ではこのレンズが最適だと思い使っている「一本勝負」が出来るレンズです。だからといって「画質」が劣るわけでも「ボケ」が悪いわけではありません。このレンズを使い始める以前には「AF-S VR ズームニッコール 24-120mm f/3.5-5.6G IF-ED」を使っていました。このレンズはレンズ交換をしないでほとんどの仕事をこなせる「一本勝負」レンズとして大変重宝していたのですが、あるとき「あれ〜このレンズ画質が良くない」と思うことがあり、機材庫の奥で眠っていた「AFズームニッコール ED 28-200mm F3.5-5.6G (IF)」を引っ張り出してきたのです。
左:24-120VR 右:28-200

そもそも24-120mmは初代「Ai AF ズームニッコール 24-120mm F3.5-5.6D(IF)」の頃から大変重宝して使っていました。
そして二代目「AF-S VR ズームニッコール 24-120mm f/3.5-5.6G IF-ED」が発売されたとき、音の静かなAF-S、VR手ぶれ防止機能付きと言う圧倒的な進化に即座に購入し、APS-Cデジタル時代には「AF-S DX VR ズームニッコール 18-200mm f/3.5-5.6G IF-ED」を使っていたものの、フルサイズデジタル時代になり、また24-120AF-S VRを使っているわけです。この間に、発売された「AFズームニッコール ED 28-200mm F3.5-5.6G (IF)」は24-120AF-S VRと違い、AF-SでもVRでもなく限りなくコンパクトにすることが使命でした。しかし時代は「AF-S、VR」方向に進んでいったため2003年に発売し、2005年までの2年ほどでカタログから消えていました。

 僕は「世界最小・最軽量コンパクト、広角28mmから望遠200mmをカバーする約7.1倍の超高倍率ズーム」には発売時点から注目はしていましたが購入にはいたらず、カタログから消えたときにあわてて購入しました。
しかし、その当時使っていたAPS-Cデジタルではワイド側が足りない。
マウントがプラスチックで強度が心配。
そんな懸念もあって、仕事で使うことはほとんど無く機材庫の中で静かに眠っていました。
 24-120VRの画質に疑問を感じ、眠っていた28-200を使ってみると、思ったより写りがいいので常用レンズとして使い始めました。実際には使い始める前にちょっと画質チェックをしてみました。前述した「画質に疑問を持った」のが、書籍の表紙用人物撮影で24-120VRを85mm位の焦点距離で使ったとき、中央部の人物描写が今ひとつハッキリしなかったので、85mmを含むズームレンズを中心に以下の計9本でテストしてみました。

共通データ:カメラニコンD3、焦点距離85mm(75、60あり)、絞りF16
その結果の自己採点

☆     24-120/3.5-5.6 AF-S VR
☆☆    24-120/3.5-5.6 AiAF(初期型)
☆☆☆☆  28-200/3.5-5.6 AF
☆☆☆☆☆ 80-200/2,8 AF-S
☆☆☆☆☆ 70-300/4.5-5.6 AF-S VR
☆☆☆☆  85mm/1.8 AiAF 単焦点
☆☆☆   60マクロ/2.8
さらに、タムロン
☆☆☆   28-75/2.8
☆☆    28-105/2.8

80-200と70-300が最高点。
ついで28-200が好い画質でした。
このテストは、自分のスタジオでストロボを使ってチャートを撮影しました。意外にも単焦点の85mmが一番ではなかったのは、このレンズの最小絞りのF16まで絞ったため回折により画質が落ちたのかもしれません。
しかし、85mm単焦点と同等の結果が得られた28-200は期待以上の結果でした。
ただしこの結果は85mm時に限ったものなので、レンズ全体の善し悪しがわかるものではありません。
今まで 24-120/3.5-5.6 AF-S VR で毎回画質に不満を感じているわけではないのは、このレンズを使うのはドキュメンタリー的な状況が多く、24mmや120mmで使うことが多く、この焦点距離ではそれほどの不満を感じたことはありませんでした。
28-200:85mmF5.3
モデル:咲良

28-200:120mmF5.6
モデル:咲良

この結果を踏まえて28-200が俄然出番が多くなったのは言うまでもありません。
しかし、このレンズ全く文句がないわけではありません。
問題点を挙げれば「暗い」事。
単焦点85mmと比べると同じF16で撮っても1絞り以上暗く写ります。レンズ構成枚数による光量低下もあると思いますが、同じ全体の光量低下がタムロンの 28-75/2.8 にも見られます。
どちらも軽量コンパクトが売りで、レンズ口径も小さくおさえられているレンズです。軽量化を図るため、F値も犠牲になっていると考えられます。
カメラの内蔵露出計を使う分には適正が得られますが、単体露出計で測って絞りを合わせたり、途中でレンズを交換するときなど注意が必要です。

去年まではニコンD3がメインカメラでしたが、現在はD600をメインで使っています。大きさも小振りで、レンズとボディとのバランスも良く「D3&24-120」より「D600&28-200」は軽量で、肩こりの解消にも一役買っていると思うのです。

現在販売中のニッコールレンズでこの焦点域をカバーするレンズは「AF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VR」になると思いますが、望遠側を300mmまでのばし、AF-SとVRを搭載したこのレンズは
大きさ:約83 × 114.5 mm
重さ:約800 g
アタッチメントサイズ:77 mm
と巨大化してしまい、
直径で13mm、全長43mm大きく、重さ2倍以上になってしまいました。
こんなに大きく重いレンズは手ぶれも起きやすく「VRを導入したがために巨大化してブレやすくなり、VRが必要になった」なんて・・・ことはないと思いますが、
単焦点85mmよりも軽い28-200はその軽さゆえに「シャッター2段分」くらいブレにくいと思えます。

「3段分の手ブレ軽減効果があるVR機能を搭載したがために大きく重くなってしまい、搭載しないレンズより2段手ブレを増してしまうようなことがあったとしたら、プラスマイナスで1段分の手ブレ軽減効果のために、2倍の金額を払い、2倍以上重いレンズを持ち歩く苦痛を強いられるよりも、別の選択があるかもしれない。」

と、「手ブレ軽減機能至上主義」になりつつある昨今を憂うのでした。

28mm
200mm


データ
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広角28mmから望遠200mmをカバーする約7.1倍の超高倍率ズーム
クラス世界最小・コンパクト設計
最短撮影距離0.44mを実現(焦点距離200mm時)
焦点のずれによる色のにじみを軽減
球面収差などさまざまな収差を補正
レンズのバランス・合焦のスピードが増すIF方式を採用
希望小売価格\62,000 (税込 \65,100)
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※ニコンHPより

レンズ構成:11群12枚構成
EDレンズ:3枚
非球面レンズ:3枚
画角:74°~12°20′(135判カメラ装着時)
焦点距離目盛:28、35、50、70、85、105、135、200mm
ズーミングの作動方式:ズーミングリングによる回転式
絞り羽根枚数:7枚羽根(円形絞り)
最小絞り:22
フォーカス制限/切替スイッチ:あり(0.44m~無限遠と0.6m~無限遠)
質量(約):360g
最大径×長さ(先端よりバヨネット基準面まで):69.5×71
マウントの材質:ハイブリッド(エンジニアリングプラスチックに金属をインサート)

Mar 03 - 2004 Made in Japan
2004 - 2005 Made in Thailand