2013年7月16日火曜日

僕のお気に入り「Ai AF ニッコール70-210 F4S」


AF ニッコール70-210 F4S
久々にこのレンズを引っ張り出してみた。

ニコン初の本格的なオートフォーカス一眼レフカメラ「ニコンF-501」の発売に合わせて、1986年に発売したAFニッコールレンズの最初期のレンズだ。レンズ構成は直前まで販売されていた「ニコンレンズシリーズ E70-210mm F4」と全く同じで、AFカメラの発売に合わせて大量のAFレンズを供給しなければならないため多くのレンズはAisレンズが流用された。
当時は「Aiニッコール80-200mmF4S」も同時に販売されていたが、「ニコンレンズシリーズE70-210mmF4」は低価格であるが、描写に関しての評判が良くヒットレンズであった。そのためAisレンズを差し置いてAFレンズに採用されたものと思われる。しかし、AFレンズとしての寿命は短命で、1987年半ばまでの約1年で「AFズームニッコール70-210mmF4-5.6S」にバトンタッチした。

80-200や70-200のズームレンズは望遠ズームの花形レンズであるが、何故このレンズが短命だったかを今回このレンズを改めて引っ張り出して考えてみた。
同スペックではコンパクトだし、画質は今回試しに写してみても十分満足のいくものだった。


考えられる問題点は、フォーカシングが前群繰り出し式で回転角も大きく、繰り出しに時間がかかる事だろう。無限遠から最短撮影距離の1.5mの先の(M)マクロまで約180° 専用フードを付けた状態で往復する様はとても「スムースなフォーカシング」とは言えない。そこでAF用に新設計した「AFズームニッコール70-210mmF4-5.6S」に切り替えたのだと思うが、このレンズは210mm時に開放がF5.6になり、僕にとってはあまり魅力的ではなかった。

最近発売になった「AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR」で思い出して引っ張り出した「Ai AF ニッコール70-210 F4S」だが、VRは付いていないがその分全長が約3cm小さく、90g軽い。ナノクリスタルコートではないが、特に強い逆光でなければ問題になることはない。問題のフォーカシングだが、ピントを探して行ったり来たりすることがなければそれほど時間もかからない。つまり、1.5mと10mに交互にピントを合わせるような過酷な動作をしない限りフォーカシングも特に問題にはならない。

現在は、グラビア系ロケ撮影は「Ai AF-S NIKKOR ED 80-200mm F2.8D(IF) 」がメインレンズなので、2本のレンズの重さを比較してみると半分以下の760g、これなら手持ち撮影も可能だろう。

「Ai AF ニッコール70-210 F4S」を買う前から使っていた「レンズシリーズ E 70-210mm F4」はニコンF3とセットで様々な仕事で使用した。当時テレビ番組雑誌の仕事が多く、テレビスタジオでドラマ収録中に俳優のアップを撮影するのにこのレンズを使っていた。ドラマの照明下で撮影するためフィルムはタングステンタイプのポジフィルム、プラス1増感しても早いシャッターは切れない。この頃は210mmでシャッタースピード「1/15」までなら手ぶれしない自信があった。「AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR」には「VR」が付いており「4段分の手ぶれ補正効果」が期待できる。当時このレンズがあったなら「1/15」の4段分、「1秒」でも手ぶれしなかったのか・・・。
ま~今でも腕は衰えていないので、「AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR」は当分お預けにして、次の撮影で「Ai AF ニッコール70-210 F4S」をメインで使おうと思う。

皆さんも中古レンズでこのレンズを見かけたら、ぜひ手にとってみて下さい。
僕はお薦めします。

ちなみにこの写真に写っているフォーカスリングはオリジナルではありません。
僕がMF操作向上にため自分で付けたゴムリングです。 

                    レンズ構成 最短撮影距離 フィルター径 大きさ   重さ
Ai AF NIKKOR 70-210 F4S          9群13枚  1.1m(M)   62mm   76.5×148 760g
AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR    14群20枚  1m       67mm   78×178.5 850g
AiAF-S Nikkor ED 80-200mmF2.8D(IF)14群18枚  1.5m             77mm   88×207  1580g



7 件のコメント:

  1. なにげなく記事を拝見しましたが、まったく同感です。私も当時F-501に着けて愛用していましたが、F4通しが重宝するうえ光学性能がすばらしく、お気に入りの一本でした。短命だった理由を一点付け加えますと、フォーカシングリングが細すぎたこともあると思います。私はこのリングにガムテープを重ね巻きにしてマニュアルフォーカスしていました。当時のAF機では、このレンズはジージー行ったり来たりでAFに時間がかかりすぎてAFが実用的ではなかったからです。最近、F2.8の重さに辟易として久しぶりにこのレンズを引っ張り出してみましたところ、現在のD一桁機あるいは三桁機のモータートルクをもってすればAFも十分に実用範囲内で再びお気に入りレンズとして活用しはじめています。私も古いレンズの中で現在によみがえる一本として最初にお勧めしたいレンズです。コマーシャリズムに流されずに自分が本当に必要とするレンズ、あるいはまた価格対比で考えても、これほどおいしレンズは他にないのではないかと。

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  2. 初めまして、D700を使用して最近このレンズを入手しました。思いの外の写りの良さに驚いています。AFスピードも700ではストレスは感じません。お教えいただきたいのですが、フォーカスリングにはめてあるゴムリングを手に入れたいのですが教えて頂けませんでしょうか。宜しくお願い致します。

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  3. お読みいただきありがとうございます。
    ご指摘のゴムリングですが、海外のサイトで滑り止め用として見たことがあるのですが、日本のカメラ店などを探しましてもフォーカスリング用のゴムリングを一度も見かけたことがありません。
    このレンズに付けている物は「汎用のゴム製レンズフード」の一番外側を切った物です。あまり大きいモノですとずれやすいので、すこし小さめの物を切り取ってはめこんで使っています。古い切れかかった物を廃物利用で使用しています。
    よろしければお試し下さい。

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  4. このレンズのデッドストックを十数年前に見つけ、今でも愛用しています。当時D1xだったボディーは何台かの変遷を経てD5になりましたが、なんと2000万画素でも実用になる描写力には驚きを隠せません。小さく軽く、そして寄れる。当分は主力レンズの一本として、ナノクリレンズ群の中で頑張ってくれることでしょう。

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  5. すみません、古い記事ですが、質問よろしいでしょうか。こちらのレンズ、気に入ってD610で使用しているのですが、もう1本所有している、Nikon AF ED 80-200 2.8の直進ズームのDタイプと撮り比べしてみました。お互い最短撮影距離、F4、200mmで双方撮り比べたところ、明らかに古い70-210の方が解像していたのです。こちらテレ端ぎみの接写だとマクロ対応されているのでしょうか? 最短撮影距離も80-200より50cm程度近く撮れるようですが。

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    1. お読みいただきありがとうございます。
      このレンズの最短撮影距離表示は1.5mですが、その先にメートル表示無しで「M」の表示がありおよそ1mまで撮影可能です。
      テレ側の210mmで1mまで寄れればかなりマクロ領域だと思います。緊急時にはかなり役に立ちます。厳密にはマクロレンズではありませんが、このレンズの便利な一面だと思います。

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    2. お返事ありがとうございます。
      すみません、マクロの件は記事にも書いてありましたね。失礼致しました。
      80-200 2.8Dとの接写比較で、あまりにも画質の差があったもので、重くて大きい80-200は手放そうかと思ってしまいました。
      70-210は望遠マクロだったのですね。
      説明書が無いためこちら、お詳しそうだったもので質問させていただきました。
      F4-5.6の説明書付きはたまに見かけるのですが、このF4Sは見つかりませんね、。

      しかしながら、やはりこの軽さ、コンパクトさでF4通しの明るさは希少な銘玉といっても良いかもしれませんね。
      個人的にはAFもそれほど遅いとも感じませんし、これからも大事に使っていこうと思います。

      この記事を読んで自分は購入しておりました。ありがとうございました。

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