2012年1月7日土曜日

ライカレンズを全部買う その3 [50ミリがいっぱい]

「ライカレンズって良いの?」ライカに全然興味のない方からこんな質問を受けることがある。
単純に画質に限って言えば「現代の日本製レンズの方が良い」と言えるだろう。
また金額のことを考えてもとてもおすすめできる物ではない。
ちなみにライカレンズ 「ズミルックスM 50ミリF1.4」の新品価格 400,000円ほど。
「Aiニッコール50ミリF1.4s」の新品価格 40,000円ほど。
10倍の価格差があって、写りが特別に良いのでなければ、なぜライカレンズを買うのか?
ブランド?
歴史?
理由、というより言い訳をいろいろと考えてみたが、上手く説明が出来ない。

僕が持っているライカレンズは全部中古レンズだ。古い物では70年、比較的新しい物でも20年前の中古で、しかも外観の程度の悪い物を狙って格安で購入した物だ。
もともと高価なライカレンズでも「暗い」「ぼろい」「古い」のいずれか、または全部を我慢すればかなりを安く買う事が出来る。
僕はこの3つを我慢して次々とライカレンズを買った。

デュアルレンジの2重カム
今回は50ミリの話。
「ライカレンズを全部買う その1」にも書いたが、最初に購入した50ミリは「デュアルレンジ ズミクロン50ミリF2」。
このレンズの高画質と、遠距離と近接撮影を可能にしたデュアルレンジの仕組みにはライカレンズにのめり込む魔力があった。

沈胴した状態の裏側
ライカのレンズは単にピントリングと絞りリングがあるだけではない「仕掛け」のあるレンズがある。デュアルレンジの次の購入した50ミリは「沈胴」式の「エルマー50ミリF2.8」だった。沈胴式とは、収納時にはレンズがボディ内に収まり、使用時には引き出す方式の物で、ライカの得意な方式のレンズだ。このレンズもLマウントに始まり、Mマウントfeet表示、Mマウント[m・feet]併記の3本を購入した。暗いレンズに属する3群4枚構成のシンプルレンズで画質はズミクロンほどではない。暗いレンズだけに開放から申し分のない画質だが、絞っても画質が向上することもない、可もなく不可もない、コンパクトな「標準」的レンズだ。さらに沈胴にはまってLマウントの「エルマー50ミリF3.5」を5〜6本買った。このレンズも歴史が長く1924年から1959年まで36万本ほど製造されたようだ。戦前、戦後、ニッケル、クローム、メートル、フィート、絞り表示の違い、さらに深度表示が赤い「赤エルマー」など様々あるが、古い物なので経年変化による個体差が激しく「あたり」のレンズが来るまで次々と買ってしまった結果だ。外観はMマウントの物よりさらに小さく、写りに関しては「こんな古いレンズでもこれだけ写るんだ!」と感激した。

エルマー2.8[m・feet]併記
次に買ったのが「ズマリット50ミリF1.5」このレンズもかなりの癖玉。このレンズの発売当時はまだF1.4まで明るくできず今どきはありえないF1.5という半端な明るさ。エルマーのF3.5に比べると2絞り以上明るいハイスピードレンズで贅沢品だったはずだ。癖玉と言われるわけは開放にある。無理して明るくしているため開放絞りではにじみが多い。さらにこの時代のコーティングが弱いのか、レンズ自体が柔らかいのか前玉に拭きキズが出やすい。ハズレのレンズを買うと傷だらけの物があり、さらに激しくにじんでしまう。僕のレンズも薄い拭きキズはあったが比較的良好で、開放で幻想的なにじみを楽しみ、F2.8まで絞るとエルマー2.8レベルに画質が向上し、さらに絞るとさらに画質が良くなる。絞りによって明るさを加減するだけではなく、画質をコントロールできるレンズで、この「癖」を上手くコントロールすれば1本で3度美味しいレンズになる。

ライカの50ミリは種類が豊富で、「ズミルックス50ミリF1.4」「ノクチルックス50ミリF1.2」「ノクチルックス50ミリF1」さらに現行品で「ノクチルックス50ミリF0.95」という超高速レンズもある。
ちなみにこのレンズのお値段118万円
もちろんこんな高いレンズは持っていない!

恐ろしやライカレンズ!

さらにつづく

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