2011年12月26日月曜日

ライカレンズを全部買う その1

ズマロン35ミリF2.8
ライカにはまってしまった僕は、M3からM6までほぼフルラインナップでライカレンジファインダーカメラを買ってしまった件は、
「ライカその3」に書いた通りだが、もちろんカメラボディだけを買っていたわけではない。

ミノルタCLEでレンジファインダーカメラの魅力を知った僕はその後、コンタックスG1でレンジファインダーカメラ熱が再発、その際G1がカバーしていない135ミリレンズを使おうとしてライカにのめり込んでしまった。
そんなわけで、最初に買ったライカレンズは「エルマリート135ミリF2.8」だった。このときは小さなボディに大きなレンズであまりライカレンズの魅力を感じることはなかった。しかも広角系のM6ボディに望遠135ミリを使うのに不便を感じた位で、まだレンズにははまっていなかった。しかし望遠系ボディを求めてM3を買ってしまい、このM3に使おうとライカの標準レンズ50ミリを探し始めたあたりからライカレンズ熱におかされてしまったようだ。

元々はカメラコレクターではなかった。仕事で必要なカメラ、レンズにしかそれほどの興味はなかった。次々と仕事で使えないようなクラシックカメラを買い始めたのはこの時期、写真撮影と平行してもう一つカメラにかかわる仕事を始めていたからだった。
某出版社から出ていた「中古カメラGET !」という雑誌に古いカメラ、レンズの試用レポートを書き始めたのだ。企画は全て持ち込み企画で「二眼レフカメラ ローライフレックス」だったり、「レア物ニッコールレンズ」だったりと自分の持っているカメラの中から、その使い勝手や良いところ、悪いところ、使用上の注意点などを毎号連載で書かせてもらっていた。中でもニコンとライカに関する記事が読者に好評だそうだ。そこで読者の疑問に載っかって僕自身も興味があるカメラ、レンズを自分で購入し、その使い勝手をレポートして記事にしていた。つまり、この記事の原稿料は全て機材購入にあてていたのだ。

デュアルレンジズミクロン50/2
M3には50ミリを付けてみないと本当の良さがわからないだろう、と様々な情報を集めているうちに興味がわいたのが「デュアルレンジ ズミクロン50ミリF2」だった。
レンジファインダーカメラは一眼レフカメラに比べて近接撮影に弱い。普通の50ミリ ズミクロンでは1メートルまでしか近距離撮影が出来ないがデュアルレンジは約45センチメートルまでの近接撮影が可能である。このため「メガネ」と呼ばれるファインダーアタッチメントが付き、2重の距離計カム構造になっていたりとメカ好きにはたまらない複雑な仕掛けで出来ており、かつ、このレンズの写りがすばらしい。一説によるとレンズを組み立てた後、性能検査をし、結果の良かったレンズをデュアルレンジに組み込んだという説もある。一般の方にとっては『良いレンズ』の定義が難しいと思うので、僕の思う良いレンズとは『欠点がないレンズ』と定義しよう。レンズの良くない部分は周辺部に出る。周辺の像が流れたり、ボケたりするのは×。またレンズ開放時に欠点が出やすい。像がにじんだり、輪郭に色がついたり。そんな欠点がなければよいレンズ。デュアルレンジズミクロンは欠点のない、しかも正確な近接(クローズアップ)が出来る理想のレンズだった。

ここでうんちく。『理想レンズ』とは、
点対点対応、
線対線対応、
面対面対応が出来ているレンズのこと。
つまり点が点に写る。円になったり面にならないこと。
線が線に写る。曲がったり、太くなったりしない。
面が面に写る。曲面になったりしない。
これが理想レンズだが、実際はこれらを崩す収差が発生する。
その収差が少なく抑えられ、発色の偏り(色付き)が無く、使える大きさで、買える値段。
これが僕の思う理想レンズ。

この理想に限りなく近い「デュアルレンジズミクロン」と出会い、どんどんライカレンズに興味がわき、比較的古いレンズから買い始めた。
50ミリの次は35ミリだろうと、次に探したのが「ズマロン35ミリF2.8」
最初に購入したズマロンが正に当たりのレンズだった。開放ではやんわり滲み、絞るとシャープに描写するちょっと線の太い良い味のレンズだった。

このあたりのレンズは1960年頃発売された物で、製造からおよそ50年経過しているため1本1本の個体差で当たり外れが大きい。撮影してみないとわかりにくいため一概に「評判」があてになるとは限らない。

ズマロン35ミリF2.8
ズマロン35ミリF2.8が大いに気に入ってしまった僕は次に「ズマロン35ミリF3.5」「ズマロン35ミリF3.5 Lマウント」「ズマロン35ミリF2.8 めがね付き」
そして、「ズミクロン35ミリF2」へとライカレンズの泥沼へずぶずぶとはまっていってしまった。




つづく

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