2011年6月14日火曜日

[ GOSSEN ] またゴッセンを買ってしまった。

GOSSEN
またゴッセンを買った。買ってしまった。
「ゴッセンルナシックス3」だ。いや、「ルナプロ」だ。名前はどっちどっちでもいい中身は一緒だ。
なぜ「買ってしまった」なのかと言うと、今さら使いみちがないからだ。

よっぽどのカメラマニアかプロカメラマンでないと聞いたこともないと思う「GOSSEN」だが、ドイツの老舗露出計メーカーなのだ。露出計とはなんぞやと言うと、写真を撮るときに明るさを測る計測器だ。ほとんどの方は見たことがないと思うが、普通はカメラの中に入っている。
1824年に世界で始めて「カメラ」ができ、1935年に初めてカメラに露出計が内蔵された。それまでは単体の露出計で明るさを測り、その明るさをシャッターと絞りに置き換えてカメラにセットして写真を撮る。1935年ドイツのコンタレックスに初めて露出計が搭載されて以後、ほとんどのカメラに露出計が内蔵され、単体露出計を目にすることはほとんどなくなった。皆さんのデジカメ、携帯電話についているカメラ全てに露出計が内蔵されている。
しかし、プロは別。プロはカメラに露出計が内蔵されていても必ず単体露出計を使う。なぜならここにプロの技が潜んでいるからだ。
人物撮影におけるプロの技
「その1」背景選び。
「その2」ライティング。
「その3」たくさん撮る。
その2のライティングにかかわってくるのが露出計なわけだ。
簡単に言うと、カメラにおまかせして写真を撮ると無難にど真ん中どんぴしゃりに露出を合わす。
プロはギリギリの露出で撮る。そのギリギリさがカメラマンによって違っていてそれこそがカメラマン1人1人の個性になる。それには露出計の「出た目」からどちらにどれ位ずらすかが重要になる。
そのためには、正確な計測ができる露出計が必要になる。
僕がU師匠のアシスタントだった30数年前、露出計と言えばミノルタかペンタックスかセコニックだった。だがドイツもの好きのU師匠のカメラはライカ、車はベンツ、露出計は「ゴッセンルナシックス3」だった。
操作は簡単で、フィルム感度を合わせ、光の来る方向に受光部の白い光球を向けシーソースイッチを押す。針が振れるのでその下の数値を読み取る。ダイヤルを回して黄色い矢印に数値を合わせる。ダイヤル外側の「絞り値」と「シャッター値」を読み取りカメラに合わせる。のだが、僕がアシスタントをしていた4年半のあいだ師匠は一回も露出を測らせてくれなかった。おかげで僕は操作の仕方は知ってても本当の測り方はわからなかった。
プロになってすぐ僕は自分の露出計を買った。「ミノルタ」製の露出計で当時88,000円だった。明るさを測るだけで88,000円。でも「女性をきれいに撮る」露出が測れるようになるには1年くらいかかった。

と、前置きが長くなったが、今回購入した「ゴッセン ルナプロ」はアメリカ向けの名称で、ドイツ、日本では「ゴッセンルナシックス3」の名称で販売されていた。もう30年も前の製品だ。もちろん今でも使える物だが、「大きく」「重い」し「単機能」なのでたぶん仕事での出番はないのだ。
今使っている「ゴッセン」と比べてみた。大きさはご覧のような差だ。大きさ70mm×110mm重さ180g。

小さい方「ゴッセン デジフラッシュ」は大きさ50mm×70mm重さ40g。小さいが多機能だ。ルナシックスと同じ定常光(太陽や電灯の光)の他、フラッシュ光も測れる。これはカメラに内蔵されている「フラッシュ」の光ではなくスタジオで使う大型ストロボの光を測るのに欠かせない。今はこのフラッシュ光が計れなければプロカメラマンが露出計を持つ意味がない。さらに、デジタル時計もついている。目覚ましタイマーも、温度計もついている。温度計はその日の「HI」と「LOW」を記憶している。撮影後「今日暑かったわけだよ、最高気温30度越えてるよ」などの会話もはずむ。そんな便利ないまどきのゴッセン露出計を持っているのに、今さら、師匠が使っていた「ルナシックス3」買ってどうすんだよ、と自分で思う。定常光しか計れないのに・・・。事実、買ってから一度も外に持ち出したことがない。

夜になると僕は思い出したようにゴッセンを取り出しスイッチを押してみる。
今まで休んでいた針がスーッと動き、止まる。
コーヒーを一口飲んだあと、ダイヤルを回して数値を読み取る。
シャッター「1/60」、絞り「F2」
自分の部屋の明るさだ。
感度はASA200に合わせてある。
なんど計っても、いつ測っても、針の振れに変わりはない。いつもの部屋の明るさだ。

でもきっと、
明日も測ると思う。

1 件のコメント:

  1. 関係ある業界にいました。忘れてた何かが・・・すぐにLunasix3買っちゃいました。明日届きます(笑)。

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