2011年6月22日水曜日

「ズームでいい」か「ズームがいい」か 

28ミリF2、85ミリF1.4、180ミリF2.8
MFフィルムカメラの時代の僕の愛用レンズだった3本だ。この3本があれば仕事の8割はこなせた。
「ズームレンズなどは仕事で使うものではない!」と思っていた時代のことである。そんな1996年、ニコンからとても魅力的なスペックのズームレンズが発売された。

初代ニッコール24-120
「AFズームニッコール24-120mmF3.5-5.6D」この必要にして十分な焦点距離のレンズが、僕のズームレンズの考えを変えた。
8万円程度の手ごろな価格もあって発売を待ってすぐに購入した。最初は常にカメラバッグに入れておいて、他のレンズに不具合が出た場合の予備と考えていた。28ミリが壊れても、85ミリが壊れても、最悪180ミリが壊れてもこのズームレンズ1本あれば全ての予備になると・・・。
ところがすぐに主役が入れ替わった。24-120ミリズームが常に主役で、元主役の3本のレンズは控えの座に落ちていった。
この何よりも便利なズームをきっかけに新たに買うレンズはズームレンズばかりになってしまった。28-200ミリF3.5-5.6、18-35ミリF3.5-5.6、70-300ミリF4.5-5.6と新しいズームレンズが発売されると次々に購入した。常用レンズは単焦点から入れ替わり、カメラバッグの中は3本のズームレンズしか入らなくなった。
すぐにデジタルの時代になり、極めつけのレンズ「AF-S DXズームニッコール18-200ミリF3.5-5.6G ED VR」が出るともうレンズはこの1本で済んでしまうほど通常使用する焦点距離を全てカバーする便利さに、もう仕事で使うレンズは「ズームでいい」と何の疑問も持たずに使っていた。

あるとき、撮影現場で「なるべく後ぼかして下さい」とアートディレクターに言われ「はい、はい、じゃあ絞りを開け目に・・・」と思ったが、望遠側はどれも開放がF5.6、これ以上開けようがない。もっと望遠にして・・・と思っても引きがない(後に下がろうと思っても場所がない)・・・。
そういえば、便利さと軽さにを良いことに開放F値の暗いズームレンズばかりを使っていた。

それをきっかけに明るいレンズに目を向けることになった。
初めのうちはAFニッコール85ミリF1.8Dを持ち歩いて、ぼかしたいときに付け替えて使っていたのだが、ズームレンズに慣れてしまって何とももの足りない。やっぱり「ズームがいい」と、大口径ズームレンズに手を伸ばした。
最初に買ったのが「AF-S ズームニッコール80-200ミリF2.8D」このレンズは十分に満足していて、現行品は「AF-S 70-200ミリF2.8G ED VRII」だが買い換えることなく使い続けている。
次に「AF-S ズームニッコール28-70ミリF2.8D」と思ったときに、妙なレンズにはまってしまった。
以前に紹介した「アンジェニュー28-70ミリF2.6」である。F2.8ではなくF2.6にくらっときて思わず買ってしまったのだが、とろけるボケに痺れてお気に入りレンズとなった。
しかし何か物足りなさを感じた。

なぜズームレンズばかりを使うようになったか、これには1つ理由がある。デジタルになってレンズ交換を極力避けるようになったのだ。理由は「ゴミ」。レンズを交換するたびに「内部撮像素子」にゴミが付くリスクがある。それを避けるためには極力レンズ交換をしない=ズームレンズ、が答えだ。それにしては28-70ミリでは望遠側がちょっと物足りない。ニッコール他、レンズ専門メーカーを探しても明るさF2.8で標準ズームレンズ領域では「24-70」「28-75」「28-80」しかなかった。
 そんなとき、今回紹介するレンズ「TAMRON タムロン SP AF 28-105mm F2.8 LD Aspherical IF」の中古レンズをWebで発見した。
調べてみるとこのレンズ1997年に発売、2000年にマイナーチェンジをして2003年まで発売されていた。当時の価格は130,000円。
発売当時の記憶はまったくなく、初めて存在を知った。中古市場でもあまり見かけないので、レンズメーカー製レンズにしては高価で、一般の方が使うには大きすぎるのであまり売れなかったのかもしれない。
僕が買ったのは後期のモデルで、程度はあまり良くないが3万円代だったので迷わず購入、すぐにメーカーに持って行きオーバーホールをしてもらった。
外観のデザインは変にプラスチックっぽいのであまり気に入ったものではない。前玉レンズが異常に大きくフィルター径が82mmもある。重量880gも重すぎだ。が、しかし写りに関しては文句がない。
105ミリにのばしたところ
左から初代24-120、VR24-120、タムロン28-105F2.8
 早速グラビア撮影に使ってみた。
ニコンD3に Nikkor 80-200ミリF2.8を三脚に付けて、決めカットを撮影。手持ち撮影用に、D3にTAMRON 28-105ミリF2.8を付けてモデルと一緒に動きながら撮影。手持ちの重さを我慢すれば写りは良いし、ボケも良い。F4辺りが美味しいところ。僕は人物撮影が多いので周辺画質はあまり気にしないが、1段絞れば四隅の光量低下もかなり改善される。難点は逆光に弱いこと。フレアーは気にならないが、丸いレンズゴーストがちょっと気になる。それと、発色が黄色い。フィルム時代は気になっただろうが、デジタルはホワイトバランスを調節すれば発色の悪さは補正できるのでこれも問題なくなる。
かくして、僕の最大のお気に入りレンズになったこの「タムロンレンズ」だが、残念なことに製造中止してから7年を経過したため部品交換を伴う修理ができなくなった。
タムロンがこのドでかいレンズを最新のXR技術でコンパクト化して再度発売してくれることを祈る思いなのだ。
「タムロンさん、お願いしますヨ!」
現行品は「SP AF28-75mm F2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO」で、望遠側が75ミリまでしかなくもの足りない。しかし、フィルター径が67ミリとコンパクトで、重量510g、値段がなんと3万円程度で新品が手に入る。

あらためてニッコールのカタログを見てみると、大口径単焦点望遠レンズは「85ミリF1.4」「105ミリF2」「135ミリF2」「180ミリF2.8」あとは超弩級望遠レンズ。最近85ミリはリニューアルされたが、あとの3本は少々時代遅れのレンズになってしまった。最新「AF-S NIKKOR 85mm f/1.4G」は今一番気になるレンズではあるのだが、値段が22万円もする。

ん~やっぱ、大口径で、便利な「ズームもいい」ぞと、実は「タムロンSP AF28-75mmF/2.8 XRレンズ」も買ってしまった。

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